赤坂クリニックでは、タトゥーや刺青(いれずみ)に対してレーザー治療または手術での対応が可能です。タトゥー・刺青の「部位(露出部かどうか?皮膚の厚さはどのくらいか?)」「大きさ(範囲)」「色調(多色かどうか?)」「予想される色素の深さ」など、個々で異なる条件を考慮のうえ、最適な治療方法を提案しています。擦り傷などのケガの後に青黒いシミが残ってしまった外傷性刺青(保険適用)やアートメイクの除去についても対応しています。
多数のレーザー機器をそろえる赤坂クリニックでは、レーザー治療の経験が豊富な形成外科専門医や皮膚科専門医が診察のうえ、タトゥーや刺青(いれずみ)の状態に応じて、最新のピコ秒レーザー『PicoWay(ピコウェイ)』をメインとして用いながら、必要に応じQスイッチヤグレーザー、Qスイッチアレキサンドライトレーザー、炭酸ガスレーザーなども補助的に使用しています。
従来のQスイッチレーザー(ナノ秒レーザー)によるタトゥー・刺青治療では、長期間かけて10〜20回以上の治療を繰り返しても、ぼんやりと絵柄が残ってしまい、最終的に他人にわからない状態まではどうしても改善できないケースが多くありました。また赤・黄・青・緑・紫色など、黒以外の多色を使用した絵柄の除去はさらに困難でした。
当院では最新のピコ秒レーザーの導入によって、従来のQスイッチレーザー(ナノ秒レーザー)での治療回数の半分〜2/3程度の回数で、従来の治療と同等の効果を得ることが可能になりました。
※就職や結婚などの都合で治療期間に制限がある場合などは、レーザー治療ではなく切除などの手術療法を提案させていただく可能性もあります。
従来のQスイッチレーザー(ナノ秒レーザー)を用いた治療は2〜3ヵ月に一度のペースで行っていたため、5回以上の治療が必要な場合、治療期間が年単位になってしまうことが避けられませんでした。
最新のピコ秒レーザーでの治療間隔は、治療開始後3回目ぐらいまでは最短で1〜2カ月(※)ごとでも可能なため、トータルの治療期間を少し短縮できる可能性があります。(※照射後の色素沈着の状態などにより治療間隔は変動する場合があります。)
複数回のレーザー治療を繰り返しているうちに、タトゥー・刺青の絵柄に沿って「皮膚のキメが変化」してきたり、皮膚表面が少し盛り上がったり硬くなる「瘢痕(はんこん)」、皮膚が長期間茶色みを帯びる「色素沈着」、肌色自体が周囲より薄くなる「色素脱失(だっしつ)」などが発生しやすくなります。
タトゥー・刺青のレーザー治療では、回数を重ねるにつれて残存する色素の量・色の種類が減少すると同時に、色素沈着がメインの状態に置き換わってきます。当院では、治療経過によって変化する色調や皮膚の状態に応じて、レーザー機器を組み合わせて用いたり、レーザー光線の出力調整や波長の変更を行いながら、治療間隔も変更するなどして、上記リスクを最小限に抑えるように努めています。
タトゥー・刺青の色調が濃い治療初期は、原則として注射による局所麻酔を行っています。色調が薄くなってくれば、貼るタイプや塗るタイプの麻酔も選択可能ですが、レーザー照射時の痛みは残ります。
一般的に、タトゥーへのレーザー照射後に皮下出血斑(内出血)や水疱(水ぶくれ)を生じる場合があります。当院では水ぶくれの発生を予防する目的で、ピコ秒レーザーの照射直後にフラクショナルレーザーも照射しています。レーザーを照射した範囲がかさぶたで覆われるまで、数日間塗り薬を塗布したうえで専用のガーゼやテープで保護しておく必要があります。約1週間後に検診に来ていただき、レーザー治療後の皮膚トラブルを生じていないかなどをチェックします。
手指のワンポイントタトゥーの場合は、当日からレーザー照射部位のテープが剥がれないように注意しながら患部以外を濡らすことは可能です。その他の部位や広範囲の絵柄を治療後は、翌日以降のシャワー浴を推奨しています。レーザー照射範囲全体のかさぶたが完成するまでは患部をこする刺激や浴槽につけることを避けていただく必要があります。
外傷性刺青以外は健康保険が使えないため、自由診療扱いになります。1回あたりの治療費はタトゥー・刺青のサイズや絵柄の密度などによって異なりますので、診察を受けていただいたうえでお伝えします。
切除縫縮術は形成外科でアザ・皮膚腫瘍・傷あとなど問題のある皮膚を切除して縫い寄せる手術と基本的には同じで、形成外科では基本手技として位置付けられている手術です。手術部位の解剖を熟知したうえで無理な切除などを行わなければ安全な手術といえます。比較的広範囲の切除手術では、術後出血や血腫などのリスクが高くなるため、総合病院などでは手術後の安静のために入院したうえでの手術を行う場合があります。当院ではすべて日帰り手術で対応していますので、帰宅後のトラブルを回避するために、@安全な麻酔、A正確な皮膚切開と皮下剥離、Bこまめな止血、C丁寧な三層縫合(皮膚の深部から順に三重に縫います)、D必要時のドレーン留置、E最適なドレッシング材料(塗り薬やガーゼ)の選択、F患部の適切な固定(包帯やギプスシーネ)などを確実に行っています。
切除縫縮術のメリットは、レーザー治療と違い治療回数がある程度予測可能な点と、新たに線状の傷あとが残りはするものの、色素を含んだ皮膚を完全になくすことが可能な点です。『進学、就職、結婚までにきれいにしておきたいので治療期間がある程度わからないと困る。』など、治療終了までの期限がある方や、『レーザー治療後にぼんやりと絵柄や雰囲気が残ってしまうのでは治療する意味がない。』など、タトゥー・刺青があったという事実を消去したい方に向いています。
タトゥー・刺青の大きさや部位によって、1回の手術で完全になくしてしまえる場合から複数回(平均して3回前後)に分けて段階的に切除していく場合があります。複数回の切除が必要と判断した場合でも、できるだけ少ない回数で完全切除することを目標に、切除する方向や切除範囲を毎回慎重に設定しながら計画的な手術を行っていきます。
前回手術時の皮膚切除の大きさや皮下剥離した範囲にも左右されますが、タトゥー・刺青が残っている皮膚の柔軟性や伸展性を回復させるために、最低でも3〜6ヵ月間は待つ必要があります。十分な回復を待たずに次の手術を行うと、切除可能な範囲が制限され、結果的に今後必要な手術回数の増加と治療期間の長期化につながってしまいます。
切除縫縮術ではタトゥーや刺青の面積分だけ皮膚が失われるうえに、周囲の皮膚を比較的強く引っ張り寄せます。広範囲の手術になるほど手術した部位や周囲の皮膚が多少なりとも引きつったり、つっぱった違和感を伴う可能性がありますが、皮膚の持つ伸展性により時間とともになじんできます。将来的につっぱり感のような違和感を全く残さないか最小限にとどめるためには、縫合の技術や手術後の創傷管理、適切なアフターケアが必要なのはもちろん、その前のステップである切除デザイン(縫い寄せる方向、切除する形状、安全な切除量など)の設定が極めて重要となり、その判断には長年の形成外科的なトレーニングなど医師個人の経験を要します。
俗に「手術後のケロイド」と呼ばれているもののほとんどは『肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)』という状態で、本物の(真性)ケロイドを生じてしまうことは極めてまれです。肥厚性瘢痕とは、手術後間もない時期は細い線だった傷あとが、数か月の経過で徐々に幅が広がり、赤く盛り上がった硬い傷あとに変化したものです。タトゥー・刺青の切除縫縮術に限らず、ケガや病気で広範囲の皮膚が失われたところに対して、周囲の皮膚を比較的強く縫い寄せて閉鎖するタイプの手術では肥厚性瘢痕の発生リスクが高いといえます。もし(真性の)ケロイド体質をお持ちの場合は、すでにタトゥー・刺青の部位に多少のケロイドを生じているかもしれませんが、強く縫い寄せた手術後のケロイドは必発といえますので、治療方法の選択には注意が必要です。
せっかくタトゥーや刺青が完全になくなっても、最終的な傷あとの赤みが長引いたり、肥厚性瘢痕化してしまうと、新たに傷あとの悩みを抱えてしまうことになります。赤味は3ヵ月から半年程度で落ち着くことが多いのですが、肥厚性瘢痕を生じてしまうと目立ちにくくなるまでには半年から数年という長い時間を要します。肥厚性瘢痕の発生を最小限にとどめるためのテーピング等各種アフターケアの方法を詳しく何度でもお伝えしています。
部位的な条件として、くるぶしに近い足首周囲・足の甲・手首周囲・指・耳の後ろの生え際などは特に皮膚の余裕が乏しいため、非常に縫い寄せにくく、タトゥー・刺青の絵柄や大きさによっては切除縫縮術が不可能です。その他の部位でも、腕や脚の半周以上におよぶ広範囲の絵柄や、前胸部や背部一面の絵柄など、縫い寄せ可能な距離に肌色の皮膚が存在しない場合も切除縫縮術は不可能です。
仕事内容によってはお勧めできない場合があります。手術後早期の傷のトラブルを防ぐためには、手術後最低2〜3日間(理想的には抜糸までの6〜7日間)は患部をしっかり安静に保つべきです。患部に負担をかけない姿勢でのデスクワーク程度であれば翌日からでも可能です。肉体労働やスポーツなどで患部の安静が保てない場合は、傷ぐちが開いて治りが遅れたり、肥厚性瘢痕が高率に発生しますので、他の治療法を検討したほうがよいかもしれません。
選択肢としては削皮術や植皮術が残っています。しかし、部位や範囲にもよりますが、手術後の傷あとが特に目立ちやすい治療法のため、当院では削皮術と植皮術は最終手段と位置付けています。術後経過や手術結果について十分にご理解いただいたうえで、局所麻酔で手術可能な場合のみ治療を行います。
削皮術後の傷が治るまでの期間は、深い擦り傷やヤケドの後の傷ぐちと似たような経過をたどります。塗り薬を毎日塗りながら、自然治癒力で傷ぐちがふさがるのを待ちます。傷ぐちがふさがるまでの期間は3〜4週間以上かかるのが普通です。このような治り方をした傷あとは、全体が肥厚性瘢痕と呼ばれる赤く盛り上がった硬い傷あとに必ず変化し、最低でも半年から1年以上かけて落ち着いてきます。その間、かゆみや痛みを伴うことも多く、掻いたりこすったりする刺激で傷あと表面の薄皮が簡単に破れたりもします。
すべての手術は注射による局所麻酔での対応です。手術中は無痛になります。局所麻酔薬は体重に応じて使用できる量に制限がありますので、1回の手術で切除可能な範囲にも制限が生じます。
手術の1〜2日目に必ず来院して頂き、手術創のチェックやドレーンを抜く処置などを行います。以後、抜糸までの期間中はご自宅で手術創に塗り薬を塗布し、ガーゼやテープで覆うような処置をお願いしています。6〜7日目に抜糸しますので必ず来院していただきます。その後も最低数か月間は時々検診に来ていただき、傷あとのトラブルがないかなどのチェックやアフターケアのアドバイスを行います。複数回の手術を予定している場合は、次の手術時期を決定するためにも定期的な検診が必須です。
傷ぐちの大きさやドレーンの有無にもよりますが、手術後2〜3日目から傷ぐちも含めて全身のシャワー浴・洗浄が可能です。抜糸が終了するまでは浴槽での入浴はできません。
外傷性刺青以外は健康保険が使えないため、ほとんどのタトゥー・刺青治療は自由診療扱いになります。切除縫縮術の場合、切除して縫い寄せた際の傷ぐちの長さ1cmあたり15000円(縫い寄せやすい部位)〜30000円(縫い寄せにくい部位)です。複数回に分けての切除が必要な場合、その都度料金が発生します。手術費用が20%程度割引になるモニター制度が適用できる場合もありますのでご相談ください。(価格は全て税別表記です)